あはき施術とは?
あはき施術が効果がある病気(適応症)、施術しない方がよい病気(禁忌症)、身体にどのような作用を及ぼすかを紹介します。
※『基礎保健理療Ⅱ(保健理療理論)』、日本ライトハウスおよび『基礎理療学(鍼灸理論)』岡山ライトハウスより引用しています。
あん摩マッサージ指圧施術
免許としては、あん摩マッサージ指圧師と1つの免許です。
あん摩マッサージ指圧は、術者の手指で相手の体表に機械的刺激(なでる、もむ、おす、ふるわせる、ひっぱる)を与え、生体反応を起こし、変調を整え、疾病を予防し、健康の保持・増進に役立てる施術である。
あん摩は中国から日本に伝えられた手法で、はり、きゅう、湯液などの漢方医術の一科として、経絡・経穴理論をもとに体系化されたものである。
マッサージは、近世フランス、ドイツ、オランダで体系化され、明治の中頃日本に輸入され、現代医学における医療補助の施術として、広く医療や保健に応用されてきた。 指圧は、導引、古法あん摩、柔道の活法から発展した、日本独特の施術であるが、大正初期にアメリカの整体療法の理論と手技を取り入れて今日に至っている。
はり施術
鍼施術とは、一定の方式にしたがい、鍼を身体に刺入あるいは接触して、組織に機械的刺激を与えて、効果的な生体反応を起こさせ、生体の変調を調整し、疾病の治療や保健の目的を果たす療法である。
広い意味では、経穴部に対する電気刺激、経穴部に対するその他の理学療法、経穴部に対する注射療法、その他、経穴部に対する種々の刺激療法を鍼施術の変法として、その範疇に入れることができる。最近では、治療目的で経穴部を指で刺激し、それをフィンガーアキュパンクチャー(指鍼療法、もしくはアキュプレッシャー)と称する傾向もある。
きゅう施術
灸施術とは、一定の方式にしたがい、艾を燃焼させ、またはそれに類する方法によって、組織に温熱的刺激を与えて、効果的な生体反応を起こさせ、生体の変調を調整し、疾病の治療や保健の目的を果たす療法である。
マッサージの適応症
① 神経系疾患:神経痛、末梢神経麻痺、末梢性痙攣、脳卒中後遺症など。
② 運動器疾患:腰痛症、五十肩、頸腕症候群、変形性膝関節症、慢性関節リウマチ(活動性の高くないものに対症的に行う)、筋肉痛、腱鞘炎、軽度の筋炎・腱炎、軟部組織の拘縮による関節の変形、骨折・脱臼・捻挫の後遺症など。
③ 消化器疾患:常習性便秘、過敏性腸症候群、胃腸のアトニー、慢性胃炎、慢性腸炎など消化器機能の低下したものなど。
④ 呼吸器疾患:軽症の気管支喘息、慢性気管支炎など。
⑤ 循環器疾患:局所性の充血、うっ血、貧血、水腫など。
⑥ 婦人科疾患:うっ滞性乳腺炎、更年期障害、月経困難症など。
⑦ いわゆる不定愁訴症候群(頭重、頭痛、めまい、耳なり、肩こり、冷え症、のぼせ、不眠、全身のだるさなど)。
⑧ その他:眼精疲労、病後の体力回復など。
はりきゅうの適応症
① 神経系疾患:各種神経痛、神経麻痺、痙攣、書痙、頭痛、片頭痛、自律神経失調症、不眠症、悪心(乗り物酔い、つわりなど)、脳卒中の後遺症
② 感覚器疾患:眼精疲労、霰粒腫(さんりゅうしゅ)、麦粒腫、結膜炎、近視、緑内障、白内障、中耳炎、難聴、乳腺炎、傷痕、水虫、アトビー性皮膚炎
③ 循環器系疾患:本態性高血圧症、動脈硬化症とその諸症状(頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、不眠、倦怠など)、心臓神経症(神経性心悸亢進症、神経性狭心症など)
④ 運動器系疾患:頸腕症侯群、むち打ち症、五十肩、各種変形性関節症、慢性関節リウマチ、腰痛、筋筋膜症(結合織炎)、腱鞘炎、肩こり、捻挫、打撲
⑤ 消化器系疾患:歯痛、耳下腺炎、食道痙攣および麻痺、急性および慢性の胃炎、急性および慢性の腸炎、胃アトニー、胃下垂、胃痙攣、腸アトニー、神経性消化不良症、肝炎、肝うっ血、便秘、下痢、痔疾
⑥ 呼吸器系疾患:各種鼻炎、感冒、扁桃炎、アンギーナ(咽頭炎)、喉頭炎、気管支炎、気管支喘息
⑦ 泌尿生殖器系疾患:膀胱炎、膀胱痙攣、尿道炎、睾丸炎、腎臓結石、尿路結石とそれによる疼痛、慢性腎炎による浮腫
⑧ 新陳代謝疾患:糖尿病とその合併症、痛風、脚気
⑨ 小児科疾患:小児急癇、夜尿症、夜驚症、小児消化不良症、小児の保健および健康増進
⑩ 婦人科疾患:月経不順、月経痛、子宮痙攣、冷え症、更年期障害の諸症状
⑪ その他:帝王切開による出産時の鍼麻酔、抜歯その他の外科手術時の鍼麻酔、癌末期の疼痛
マッサージの禁忌症
「絶対に受けない方がよい病気」
① 発熱性疾患:伝染病(感染症)など。
② 悪性腫瘍:癌、肉腫など。
③ 急性炎症:腹膜炎、虫垂炎など。
④ 外傷部位:創傷部、骨折・脱臼の直後など。
⑤ 血管疾患:静脈血栓、静脈炎、動脈瘤、その他の血管障害など。
⑥ 潰瘍性疾患:胃腸・皮膚の潰瘍など。
⑦ 化膿性疾患:炎症や膿形成のある場合など。
⑧ 重症の内臓疾患:心臓・肺・腎臓などの重症疾患など。
⑨ 安静を要する場合:吐血、喀血、脳出血直後など。
⑩ 中毒性疾患:蛇毒など。
「慎重に施術する病気」
動脈硬化症、妊娠、皮膚に創傷や発疹のある場合、脳卒中の初期など。
はりきゅうの禁忌症
「絶対に受けない方がよい病気」
急性伝染病、急性虫垂炎、重篤な心疾患、悪性腫瘍、破傷風、丹毒、血友病、壊血病、紫斑病、肺炎など高熱を発する疾病、結核の終期など。
「慎重に施術する病気」
寄生虫症、変性および肥大、壊疽、腫瘍、熱性諸病など。
あはき施術の作用
マッサージ施術は体表に接触して機械的刺激を与え、はり施術は体表の特定部位を接触穿刺して機械的刺激を与え、きゅう施術はもぐさの燃焼による温熱刺激を加えてともに効果的な生体反応を期待するものです。
作用には次のようなものがあります。
① 鎮静作用
あはき施術は、神経痛や痙攣などに対して、その機能を鎮静させます。
② 興奮作用
あはき施術は、感覚が鈍かったり、腸の動きが悪いために起こった便秘などにたいして、働きを回復させます。
③ 誘導作用
あはき施術により、循環に影響を与え、血液・リンパなどの流れをよくします。
④ 消炎作用
はり施術により白血球が増加し、施術局所に集まり、炎症の治癒に効果を出します。
⑤ 鎮痛作用
あはき施術は、痛む部の血液循環をよくして痛みを鎮めます。
⑥ 反射作用
あはき施術は、尿管結石の激しい痛みや神経性胃痛などの時、離れた場所に施術して、反射を利用して治そうとするものです。
⑦ 防御作用
あはき施術により、ストレスから解消され、病気にかかりにくくなります。
⑧ 矯正作用
マッサージ施術により加えられた力により、身体の形態的および機能的な異常を正常な状態に戻そうとするものです。
⑨ 調整作用
あはき施術は、生体全体としての協調性や統合性が失われ種々の症状を引き起こしている場合に、施術することで、興奮反応や鎮静反応を引き起こし、全体として調和のとれた機能状態に回復させるものです。
⑩ 増血作用
きゅう施術は、白血球数の増多や機能亢進をきたします。また、長期間の施灸により、赤血球数・血色素量が増加するので、貧血や慢性病の治療に効果的です。
⑪ 止血作用
きゅう施術により血液凝固時間が短縮します。
⑫ 強心作用
きゅう施術により心臓・血管などの収縮力増強などの作用があります。